複式簿記じゃないと落ち着かない!?
経理の効率と答え合わせ
決して自然じゃないはずの複式簿記での経理ですが
後戻りさせないだけの説得力があります。
経理の効率化や確実性ともつながります。
落ち着かない!? 直感と反する!?
確定申告の経理処理では、
- 事業関連の領収書やレシート
- 所得控除の証明書
- 電卓
- 帳簿
という印象が強いかもしれません。
目線を帳簿にグッと絞っていくと、
- 収支内訳書
- 青色決算書
さらに所得計算上メインの損益計算書が連想できます。
売上や経費の金額を集計していけば作成にたどり着けます。
青色申告書といっても「10万円」の青色申告特別控除であれば、
作成方針は定まりやすいはずです。
一方、税理士が依頼を受けて確定申告に臨む場合、
- 複式簿記+電子申告での「65万円」特別控除
での青色申告が中心です。
損益計算書に貸借対照表も加わります。
税負担額が抑えられるだけでなく、
- 経理の効率面でも複式簿記が有利!
という理由があるからです。
落ち着かない!? 複式簿記の役割
複式簿記が効率面で有利という発想は直感的ではありません。
ことばを補うと、
- 複式簿記は直感的ではないけれど
- 正解のない経理処理を進める上で
- 結果的に効率的になる
ということができます。
学習上の簿記であれば、解答→答え合わせと完結します。
実践的な視点では「正解」はありません。
相当の留意と確認と知識や経験でもって確かな処理をする
選択となります。
そのため「裏付け」や「紐付け」への期待が高まります。
たとえば、売上が100万円あった場合。
売上帳での記載だけで、売上科目の集計は可能です。
一方で、売上にもとづく入金は別途確認が必要です。
複式簿記であれば、
- 12月26日 (借方)普通預金 (貸方)売上 100万円 林商事
と一挙に処理だけでなく、裏付けや紐付けの確認もとれます。
視点を変えてみます。
預金口座の動きを集計だけの単式簿記で追うことが
- 不確実
- 非効率
という場合があります。
たとえば、収入と経費を精算した結果が預金に反映された場合。
預金口座に入出金の記録があったとしても、
- 勘定科目ごとの集計だけでは取引全体がわからない
といったマイナス面が目立ちます。
「複合仕訳」といった複式簿記での処理はまわりくどいようで
逆説的に効率的で確実性にプラスとなります。
12月26日 (借方)支払手数料 ○○ (貸方)売上 □□
荷造運賃 △〇
預金 ××
「正解」や「答え合わせ」が期待できない前提があるからこそ、
複式簿記での処理を選択することが合理的になります。
落ち着かない!? 消費税への拡張機能!
2023年(令和5年)10月から消費税のインボイス制度が始まります。
免税事業者であっても課税事業者となるケースが増えます。
消費税の納税負担発生以前の経理処理コストがUPします。
複数税率制度に加えて、
- 本則課税
- 簡易為替
- 「2割特例」課税
での経理処理と申告書作成が必要になります。
(消費税インボイス制度対応をシフトする!)
会計ソフトの利用=複式簿記での処理、という実態があります。
会計ソフトの利用では消費税の設定をすることが前提になっています。
経理の効率性や確実性のために複式簿記とのつながりを強める
といえる時期を迎えています。
蛇足
複式簿記は会計ソフトでの集計・出力機能があるからこそ
効率性や利便性を実感できます。
集計・出力に「人力」を使ってはいけません。
「入力」もぼちぼちAIの出番が増えてくるようです。
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